役人の子はにぎにぎをよく覚え
こんな川柳を聞いたことはありませんか?
「にぎにぎ」とは、赤ちゃんが手を握ったり、開いたりする動作を指す言葉ですが、同時に賄賂(ワイロ)をもらうことを示唆する言葉でもあります。
この川柳は、賄賂政治が横行した田沼時代を象徴するものだ、と教えられた記憶があります。
田沼時代とは、田沼意次が側用人・老中として権力の中枢にいた時代のことで、通常、明和4年(1767)から天明6年(1786)とされています。
ところが、冒頭の川柳が収められた『誹風柳多留』を見てみると、この川柳の出典は、宝暦9年(1759)のものとなっています。つまり、田沼時代よりも前の作なわけです。
となると、田沼時代以前からすでに賄賂政治はそれなりに行われていたわけで……
田沼意次とその政治姿勢および当時の時代背景には、少し見直しが必要なのかもしれません。
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(最後は告知になってしまいました。申し訳ございません)